令和8年度第10回海洋化学奨励賞
令和8年度第10回海洋化学奨励賞は,以下の各氏に授与されました.
尾張聡子氏(U40)
所属・職:東京海洋大学学術研究院海洋資源エネルギー学部門・助教
略歴:
2014年3月 千葉大学理学部地球科学科 卒業
2014年4月 千葉大学大学院理学研究科地球生命圏科学専攻博士前期課程 入学
2014年4月 明治大学ガスハイドレート研究所研究支援員 (2016年3月まで)
2016年3月 千葉大学大学院理学研究科地球生命圏科学専攻博士前期課程 終了
2016年4月 千葉大学大学院理学研究科地球生命圏科学専攻博士後期課程 入学
2016年4月 日本学術振興会特別研究員DC1 (千葉大学、2019年3月まで)
2017年4月 国立開発研究法人量子科学技術研究開発機構実習生(2019年3月まで)
2017年9月 東京家政学院大学 非常勤講師 (2020年3月まで)
2018年4月 千葉大学 非常勤講師 (2019年3月まで)
2019年3月 千葉大学大学院理学研究科地球生命圏科学専攻博士後期課程 修了 (理学博士)
2019年4月 東京海洋大学学術研究院海洋資源エネルギー学部門 助教
2022年11月 日本学術振興会海外特別研究員 (Linnaeus University, Sweden)
2025年7月 第67次南極地域観測隊隊員 (2026年4月まで)
2021年4月 東京大学大気海洋研究所助教,現在に至る
受賞題目:海洋のメタン・ヨウ素循環の素過程の理解
推薦理由:海底下におけるメタンおよびヨウ素の循環は気候変動や物質循環を理解する上で重要であるが,観測上の制約から未解決の課題が多く残されている.尾張氏は自ら現場に赴く海洋調査を基盤として,海底下物質循環研究に新たな展開をもたらした.ガスハイドレートの不安定化が潮汐や底層水温変化といった短期的環境変動に応答して数日スケールで進行することをあきらかにした.また,放射性ヨウ素同位体を用いてプレート沈み込み帯におけるマクロスケールのヨウ素循環を体系的に解明し,その年代測定法としての有効性と適用条件を実証した.これらの功績は海洋化学奨励賞にふさわしい.
中村 航氏(U30)


東京大学大気海洋研究所・特任研究員
略歴:
2019年3月 横浜国立大学理工学部建築都市環境系学科都市基盤教育プログラム卒業(学士:工学)
2019年3月 オランダDeltares研究所研究生(2020年2月まで)
2021年3月 横浜国立大学大学院都市イノベーション学府都市地域社会専攻修了(修士:工学)
2021年4月 日本学術振興会特別研究員(DC1)(2024年3月まで)
2024年3月 東京大学大学院新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻修了(博士:環境学)
2024年4月 東京大学大気海洋研究所特任研究員(現在にいたる)
2024年4月 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター会計年度任用職員(現在にいたる)
受賞題目:マングローブ湿地と海洋間の炭素循環研究
推薦理由:中村氏は高解像度のCO2分圧観測と放射性同位体(14C, 222Rn, 223Ra, 224Ra)を組み合わせた独自の研究手法を提案し,マングローブ生態系が有する炭素隔離機能の全体像の解明に大きく貢献した.特に,沿岸域の炭素循環に時間軸の概念を導入し,数百年前に土壌へ埋没した炭素が現在も海洋へ流出していること,およびマングローブから海洋に流出した炭素の約90%が今後も海洋に隔離され続ける可能性を示した点は極めて高い学術的価値を有する.中村氏は研究の着想から実行に至るまでのすべての過程を自ら主導し,成果へと結実させた.よって,これらの功績は海洋化学奨励賞にふさわしい.