平成29年度第1回海洋化学奨励賞

平成29年度第1回海洋化学奨励賞は,平成29年4月22日(土)京都大学楽友会館にて,以下の各氏に授与されました.

近藤能子氏(U40)

所属・職:長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科・助教

略歴:
2002年3月 東京水産大学水産学部食品生産学科卒業
2007年3月 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻博士課程修了
2007年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻学術支援研究員
2015年3月 長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科助教

受賞題目:海洋における鉄の存在形態と微量金属元素(マンガン,ニッケル,亜鉛,カドミウム等)の動態に関する研究

推薦理由:近藤能子氏は,大学院在籍時から鉄など微量金属元素の循環機構ならびに生物利用能との関わりについての研究を続けてきた.特に,鉄の有機配位子の分布と生成機構,および酸化還元状態に着目し,太平洋やその縁辺海などにおける鉄の存在形態をあきらかにした.また,西部北極海(チャクチ海,カナダ海盆)における微量金属元素(マンガン,鉄,ニッケル,亜鉛,カドミウム)の輸送過程を明らかにした.


坂口綾氏(U40)

所属・職:筑波大学数理物質系アイソトープ環境動態研究センター・准教授

略歴:
2002年3月 金沢大学理学部化学科卒業
2007年3月 金沢大学大学院自然科学研究科博士課程修了
2008年9月 広島大学原爆放射線医科学研究所助教
2014年6月 筑波大学数理物質系アイソトープ環境動態研究センター准教授

受賞題目:海水中の人工放射性極微量ウラン同位体測定とその応用

推薦理由:坂口綾氏は,放射性同位元素に基づく地球化学の研究を進めてきた.特に,新しい海洋トレーサーとしてのウラン236の可能性に着目し,加速器質量分析のための極微量ウラン236の化学分離法を改良し,多数の試料を短時間で分析できるようにした.この方法を用いて,日本海および西部北太平洋へのウラン236供給履歴を復元し,海水循環の解明を行った.


高野祥太朗氏(U30)

所属・職:京都大学化学研究所・助教

略歴:
2010年3月 大阪教育大学教育学部教養学科卒業
2015年3月 京都大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了
2015年4月 京都大学化学研究所助教

受賞題目:海洋における銅の高精度安定同位体比分析法の開発

推薦理由:高野祥太朗氏は,キレート固相抽出と陰イオン交換に基づく海水中銅安定同位体比の精密分析法を開発した.本法は,従来法に比べて簡便,迅速,高感度である.本法を用いて,海洋の銅安定同位体比の分布を観測した.さらに,銅の濃度と同位体比を組み合わせて,銅の供給・輸送・除去フラックスを推定した.