平成31年度第3回海洋化学奨励賞
平成31年度第3回海洋化学奨励賞は,平成31年4月27日(土)京都大学百周年時計台記念館にて,以下の各氏に授与されました.
川口慎介氏(U40)
所属・職:国立研究開発法人海洋研究開発機構・研究員
略歴:
2004年3月 北海道大学理学部卒業
2006年3月 北海道大学大学院理学研究科修了
2009年3月 東京大学大学院農学生命科学研究科修了
2009年3月 博士(農学)東京大学取得
2009年4月 独立行政法人海洋研究開発機構ポストドクトラル研究員
2010年10月〜11月 Woods Hole Oceanography Institution, Guest
2012年3月 独立行政法人海洋研究開発機構研究員(改組を経て現在に至る)
2016年8月〜2017年7月 ETH Zurich, Academic visitor
受賞題目:化学組成解析に基づく海洋−地圏−生物圏相互作用の追求
推薦理由:川口慎介氏は,深海で起こる現象全般に幅広い興味を持ち,液相の化学組成を主たる指標に用いて俯瞰的視点から多くの成果を挙げた.最近では,伊豆小笠原海溝の水塊の三次元海洋観測,マリアナ前弧南チャモロ海山における蛇紋岩化に伴う化学反応の解析,および水素資化性メタン生成菌培養時の水素同位体効果の解明などに成果を収めた.さらに同氏は多くの研究航海の主席を務め,各種学会の委員としても活躍している.
坂田昂平氏(U30)
所属・職:国立研究開発法人国立環境研究所・日本学術振興会特別研究員PD
略歴:
2012年3月 広島大学理学部地球惑星システム学科卒業
2014年3月 広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻博士課程前期修了
2017年3月 広島大学大学院理学研究科地球惑星システム学専攻博士課程後期修了
2017年4月 国立研究開発法人国立環境研究所地球環境研究センター地球大気化学研究室特別研究員
2017年4月 同上・日本学術振興会特別研究員PD(現在に至る)
受賞題目:エアロゾルのクリーン採取法の開発による微量金属の溶解性と大気化学反応の関連性の解明
推薦理由:坂田昂平氏は,海洋エアロゾルのクリーンサンプリング法の開発を行い,陸域・海洋エアロゾル中の金属元素の溶解性と化学種に関する研究に取り組んできた.陸域と同様に海洋でも微細エアロゾル粒子で水溶性金属の濃度及び溶解性が高くなることを見いだした.さらに,エアロゾル中の鉛について,X線吸収分光法や溶液平衡化学モデルによる化学種解析から,液滴内での硝酸や硫酸との反応が溶解性に強く影響することを明らかにした.