平成21年度第24回海洋化学学術賞

平成21年度第24回海洋化学学術賞は,平成21年4月28日(火)京都大学百周年時計台記念館にて,紀本岳志氏ならびに山田正俊氏に授与されました.(アルバム)

紀本岳志氏

所属・職: 紀本電子工業株式会社代表取締役
略歴:
1976年 京都大学理学部卒業
1976年 紀本電子工業株式会社・株式会社環境理化学研究所入社
2000年 紀本電子工業株式会社代表取締役
2002年 株式会社環境理化学研究所代表取締役
2004年 (財)海洋化学研究所監事
2008年 信州大学客員教授
受賞題目: 水圏・大気における化学成分の連続測定法の開発
推薦理由:
紀本岳志氏は,地球・環境化学における連続測定の重要性にいち早く着目し,水圏および大気中化学成分の連続測定法開発に精力的に取り組んできた.その開発は多くの研究者との共同で進められ,さまざまな装置として結実し,種々の海洋化学・環境科学的課題の解明に寄与した.特に,リン・窒素・ケイ素など栄養塩の測定装置は宍道湖・中海・琵琶湖において,自動エアロゾル・レインサンプラーは外洋において,従来手法ではできなかった観測を実現し,新発見を導いた.よって同氏の業績は海洋化学学術賞に値すると認められた.


山田正俊氏

Dr. Yamada

所属・職: 独立行政法人放射線医学総合研究所チームリーダー
略歴:
1982年 北海道大学大学院博士後期課程単位取得退学
1982年 日本学術振興会奨励研究員(北海道大学)
1983年 水産学博士(北海道大学)
1984年 東京大学海洋研究所研究生
1985年 山形県立新庄工高教諭
1991年 科学技術庁放射線医学総合研究所主任研究官
2003年 独立行政法人放射線医学総合研究所チームリーダー
受賞題目:海洋における人工放射性核種の動態解析
推薦理由:
山田正俊氏は,Puや137Csなど人工放射性核種の海洋動態を定量的に解明する研究を行った.特筆すべき成果は,240Pu/239Pu同位体比の広範な海洋表面分布,北太平洋における鉛直分布を明らかにしたこと,Pu濃度および同位体比測定により1960年以前の相模湾堆積物にビキニ水爆実験の痕跡を初めて特定したことである.これらは,人工放射性核種の地球環境影響を評価する上で,掛け替えのない観測データである.よって同氏の業績は海洋化学学術賞に値すると認められた.