平成23年度第26回海洋化学学術賞

平成23年度第26回海洋化学学術賞は,平成23年4月23日(土)京都大学百周年時計台記念館にて,蒲生俊敬氏に授与されました.(アルバム)

蒲生俊敬氏

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所属・職: 東京大学・大気海洋研究所・教授

略歴:
1974年3月 東京大学理学部化学科卒業
1979年3月 東京大学大学院理学系研究科博士課程(化学専攻)修了(理学博士)
1981年4月 東京大学海洋研究所・海洋無機化学部門・助手 1992年12月 同上・助教授
2000年4月 北海道大学・大学院理学研究科・地球惑星科学専攻・教授
2003年11月 東京大学海洋研究所・海洋化学部門・海洋無機化学分野・教授
2010年4月 東京大学大気海洋研究所・海洋地球システム研究系・海洋化学部門・海洋無機化学分野・教授

推薦理由:蒲生俊敬氏は,1970年代後半に発見された海底熱水活動について1980年代前半から研究を開始し,背弧海盆および中央海嶺熱水系の地球化学的研究を精力的に行ってきた.観測船を用いた観測研究の最前線に立って熱水試料の採取法・船上分析法・現場分析法などを開発し,日本における海底熱水の地球化学研究の礎を築いた.これらの手法を用いてインド洋中央海嶺に活発な海底熱水活動域が存在することを初めて明らかにした.また、沖縄トラフにおけるアルカリ度の高い熱水,マヌス海盆における強酸性熱水などを次々と明らかにした.一方,同氏は化学トレーサー(14C, 222Rnなど)を用いた海洋の循環・混合に関する研究を継続的に行ってきた.日本海,フィリピン海,スールー海などの底層水循環過程を解明し,特に日本海においては、底層水の溶存酸素濃度が経年変化していることを明らかにした.また,同氏は東京大学海洋研究所に長年奉職し,全国共同利用研究所の教員として日本の海洋化学コミュニティーの研究航海の取りまとめ役として卓抜した能力を示してきた.さらに最近は,国際GEOTRACES(海洋の微量元素・同位体による生物地球化学研究)計画にも日本のScience Steering Committee Memberとして参加し,国際的な舞台においてもそのリーダーシップをいかんなく発揮してきた. よって同氏の業績は海洋化学学術賞に値すると認められた.